取締役会の知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方

当社は取締役会について、多面的な視点・豊富な経験・専門性を持ち、それらを柔軟な思考により当社グループの経営に反映することができるメンバーで構成し、取締役会全体として知識、経験、能力等のバランスが適切に保たれることが重要と考えております。各取締役・監査役が有している知識・経験等については、以下のとおりスキル・マトリックスを作成しておりますのでご参照ください。

取締役会の実効性評価

取締役会の実効性に関する評価結果の公表

1. 評価の基本方針

 

取締役会の実効性について評価を実施する意義は、取締役会における課題の把握と課題解決に向けた適切な対応によって、より質の高い経営を実現し、さらなる企業価値の向上に資することにあると考えています。
このことから、取締役会自身の自己評価だけでなく、取締役会を俯瞰し、客観的な立場から取締役会の実効性について評価・分析した上で、取締役会自身が行動していくことを基本方針として取組んできました。

2. 評価の方法・プロセス

外部専門機関の導入
本方針に基づき、2017年度から、取締役会の実効性評価を専門とする外部機関による評価・分析を実施しており、2022年度は取締役会議長へのインタビュー、取締役および監査役全員を対象とした質問票の作成および回答の集計、質問票への回答結果を踏まえたレポートの作成を実施しました。取締役会と利害関係のない第三者を評価のプロセスに導入することで、匿名性の確保と忌憚のない意見の引き出しが行われ、評価の客観性を確保しています。

当社オリジナルの取組み
外部機関の導入に加え、社内の経営幹部候補者育成研修等の受講を終了した従業員から選抜し、経営会議、取締役会へのオブザーブおよび取締役会へのインタビューを通じて評価する従業員評価を当社オリジナルの制度として導入しています。
この従業員評価は従業員の視点を評価に反映するだけでなく、経営人材の育成という面においても重要な取組みであると位置づけています。

各評価結果は、外部機関より取締役会へ報告しています。取締役会は、当該報告内容を分析・検証し、取締役会の強みと課題について認識の共有を図るとともに、課題の解決に向けた具体的なアクションプランを進めています。

3. 分析および評価の結果概要

 

各評価および取締役会での議論の結果は次のとおりです

高評価項目
下記の項目については、取締役会において高い実効性を発揮している と評価されており、今後も引き続き維持向上に努めていくこととしています。
❶ 次期経営者・経営陣幹部の育成環境の整備
❷ 化粧品以外の領域へ事業拡大を進める思考の醸成
❸ 取締役会の多様性からくるガバナンス機能

指摘を受け課題と認識した項目
下記の項目については、改善の余地があるという認識に至りました。 今後、これらの課題解決に向けた取組みの実行とその経過を監督・検証し、適宜修正を加えることで、より実効性を高めていきます。
❶ マルチブランド戦略、事業ポートフォリオの検証強化
❷ ホールディングスの役割の明確化、リーダーシップの発揮(子会社への関与)
❸ 取締役会の在り方、役割(マネジメントボード/モニタリングボード等)に関するコンセンサスの構築

4. 前年度に課題と認識した主な項目の改善状況

 

2021年に実施した取締役会実効性評価によって指摘を受けた課題に対し、2022年に実施した取組みは以下のとおりです。

 

❶ 化粧品事業のグローバル展開と各ブランド、 ブランドポートフォリオの構造改革

グループ海外体制に関する議論、検討の末、グループ各社の海外事業の統合を決定し、新体制への移行に向けた実行体制の整備を完了しています。また、グループ各社のトラベルリテール事業の統合を完了しました。一方で、Jurliqueを含め、各ブランドの利益計画は未達成も、赤字ブランドの損失は改善しています。

 

❷ 新事業、新価値創出

CVC投資、国内外のLP出資をはじめとする、新価値創出に向けたアライアンスの探索や投資を実行。新領域開拓では、美容医療事業への参入について本格的な検討を開始。研究開発では、新剤型開発が予定どおり進捗するなど、新事業・新価値創出に向けた“種まき”は着実に進捗をしています。

 

❸ コーポレートガバナンス・コード改訂対応(グループ横断の環境、サステナビリティ課題)

気候変動に係るリスクおよび収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、TCFDの提言に基づきシナリオ分析を実施し、統合レポート、ホームページ等で公開をしています。また、SDGsを念頭に置いたサステナビリティプラン、中期経営計画と連動した非財務KPIを取締役会にて決議し、情報を公開しています。

役員の選任理由

氏名

役職

選任理由

鈴木 郷史 代表取締役会長

代表取締役社長として当社グループの持続的な成長の実現、企業価値向上において実績があります。2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に蔓延し、大変厳しい経営環境にありながら、この難局をチャンスと捉え、新しい取り組みを積極的に推進してまいりました。また、現中期経営計画や新長期経営計画の策定においては、当社グループのトップとして常に高い視座で思考し、グループの成長実現に向けた確固たる意志を持ち、強いリーダーシップを発揮してまいりました。
同氏は、「役員コンピテンシー」評価では、事業が持つ社会的な意義と現状及び将来の方向性を見極め、グループ全体をその方向に向かって大きく転換させようという強い意志と実行力を行動発揮の特長としております。
以上のことから、取締役として同氏を選任しております。

横手 喜一 代表取締役社長

株式会社ポーラの代表取締役社長として、組織風土改革を推進する等、豊富な経営経験を有しております。また、当社グループ海外展開担当取締役として、長年にわたる課題であるJurlique International Pty. Ltd.の黒字化に向けた経営改革において、着実に成果を出してまいりました。2021年1月には、アフターコロナの成長加速に向け、グループのトラベルリテール事業を統括するPOLA ORBIS Travel Retail Limitedを設立し、責任者としてアジア全域のトラベルリテール事業拡大のスピードアップを推進し、当社グループの海外事業を牽引しております。
同氏は、「役員コンピテンシー」評価では、企業としての社会的使命を強く認識し、困難な状況においても、打開する突破力や使命感に基づいた粘り強さで、従来の枠組みに捉われることなく変革をリードし、機先を制する行動発揮を特長としております。
以上のことから、取締役として同氏を選任しております。

久米 直喜 常務取締役

経営企画及び経理財務部門の責任者を務める等、経営及び財務・会計の豊富な経験と実績を有しております。現中期経営計画においては、中長期の事業成長実現に向けて、ブランドポートフォリオの拡充、新規事業への投資、加速等を進めてまいりました。様々な経営全般の課題に対し、攻めと守りのバランスの取れたディレクションを遂行しております。
同氏は、「役員コンピテンシー」評価では、社会変化を的確に把握し、従来のドメインに固執せず幅広い領域を視野に入れたポートフォリオの変革等、経営の意思決定において柔軟な思考や行動を特長としております。
以上のことから、取締役として同氏を選任しております。

小川 浩二 取締役

事業会社を経て当社のコーポレートコミュニケーション部門、法務総務部門の責任者を歴任する等、幅広い知識と経験を有しております。2017年から当社の執行役員として多くのグループの重要なプロジェクトを進めるとともに、新規事業創出の仕組化等新しい取り組みを牽引してまいりました。また、経営陣の指名、任用及び報酬に関する任意の諮問委員会の設置や抜本的な働き方改革を加速させる等、サステナブルな経営基盤づくりを牽引しております。
同氏は、「役員コンピテンシー」評価では、企業価値創出に向け、前例に捉われない柔軟な姿勢と戦略的思考に長けており、時機を逃さないタイムリーな意思決定と、組織に安心感を与えつつ、個人のチャレンジを多様な方法で引き出し着実に成果に結びつける行動発揮を特長としております。
以上のことから、取締役として同氏を選任しております。

小林 琢磨

取締役

株式会社DECENCIAの代表取締役社長として、同社を急成長に導く等、経営者として豊富な経験と実績を有しております。オルビス株式会社では、リブランディングや組織改革において一定の成果を上げるとともに、ユーザー視点でのデジタルトランスフォーメーションを積極的に活用、推進する等、グループの先陣を切って変革に着手しております。
同氏は、「役員コンピテンシー」評価では、将来のビジョンを描いて組織に浸透させる行動に優れており、成果創出に向けた機動的な意思決定力と突破力を強みとしています。また、幅広い人的ネットワークを持ち、従来の延長線上ではない視点や発想力をベースとしたタイムリーでスピード感のある行動を特長としております。
以上のことから、取締役として同氏を選任しております。

小宮 一慶 社外取締役

会社経営における豊富な知識と経験を有し、社外取締役として当社の経営全般に対する的確な助言や提言、業務執行に対する監督等、適切な役割を果たしております。
以上のことから、社外取締役として同氏を選任しております。

牛尾 奈緒美

社外取締役

経営学・人的資源管理論を専門とし、働く女性の能力活用の問題に取り組む等、幅広い知識と見識を持ち、社外取締役として当社の人材育成やダイバーシティの推進等に関する的確な助言や提言、業務執行に対する監督等、適切な役割を果たしております。
同氏は、過去に社外取締役及び社外監査役となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、以上の理由により、社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと判断いたします。

山本 晶

社外取締役

マーケティングを専門とし、主にデジタル環境下における消費者行動の研究に従事する等、幅広い知識と見識を持ち、社外取締役として企業価値向上に資する助言や提言、業務執行に対する監督等、適切な役割を果たしております。
同氏は、過去に社外取締役となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、以上の理由により、社外取締役としての職務を適切に遂行することができるものと判断いたします。

河本 秀樹 監査役

株式会社ポーラ及び当社において、経理・財務部門の責任者を歴任し、管理部門における豊富な業務経験と知識を有しており、監査役として経営に対する助言を行っております。
以上のことから、監査役として同氏を選任しております。

佐藤 明夫 社外監査役

企業法務に精通した弁護士としての専門知識と経験を有し、法務の専門家として客観的な観点で当社の経営に対する助言を行っております。
同氏は、過去に社外取締役及び社外監査役となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、以上の理由により、社外監査役としての職務を適切に遂行することができるものと判断いたします。

中村 元彦

社外監査役

公認会計士及び税理士としての専門知識と経験を有し、客観的な観点で当社の経営に対する助言を行っております。
同氏は、過去に社外監査役となること以外の方法で会社の経営に関与した経験はありませんが、以上の理由により、社外監査役としての職務を適切に遂行することができるものと判断いたします。